怪人連盟
リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン (Vol.1) (JIVE AMERICAN COMICSシリーズ)
- 作者: Alan Moore,Kevin O’Neill,秋友克也,猪川奈都
- 出版社/メーカー: ジャイブ
- 発売日: 2004/03/15
- メディア: コミック
- 購入: 3人 クリック: 47回
- この商品を含むブログ (53件) を見る
リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン (続) (JIVE AMERICAN COMICSシリーズ―America’s best comics)
- 作者: Alan Moore,Kevin O’Neill,秋友克也,大島豊
- 出版社/メーカー: ジャイブ
- 発売日: 2004/11
- メディア: コミック
- 購入: 4人 クリック: 22回
- この商品を含むブログ (29件) を見る
映画にもなったのでご存じの方もいるかもしれない(ま、映画と原作は全然違うので気にしないでOKです)。
19世紀イギリス。政府によって集められた5人の「超常的なる紳士」。
すなわち、ミナ・ハーカー(離婚してウィルヘルミナ・マリー)、アラン・クォーターメイン、透明人間、ジキル博士(とハイド氏)、ネモ船長である(淑女もいるって? そこはほら、19世紀だから)。
彼らの前に現れる悪魔的な計画とは!?
ヴィクトリア朝といえば……のあの人がいないが、その理由はゆっくりと明かされるので本文をお読みあれ。
まぁなんというか、明らかに頭の悪い(誉め言葉)設定に、全勢力を注ぎ込むアラン・ムーアと、雰囲気のありまくる絵で執拗にディティールを描くケビン・オニールの組み合わせは天下一品。
上述の5人以外にも、メインの悪役から、コマの端っこまで、無数の19世紀フィクションのキャラが登場しまくる。大概は、すさまじい悪意というか諧謔を含む(例えばポリアンナも登場しますがその運命は……)。
1巻も大概ひどいが、2巻に至っては、哄笑するしかないほどに気が狂っている。
2巻のメインストーリーは「宇宙戦争」(この作品は、発表年代に基づいて整理しています。原作が書かれたのは1898年)。
1巻は、様々なヴィクトリア朝キャラをクロスオーバーしたのだが、これ自体は様々な先例がないわけじゃない*1。
2巻は、様々な火星をクロスオーバー。
いや冒頭に四本腕の緑色人が出てきた時は、もうどうしようかと。
どういうことかというとお馴染みの蛸型宇宙人はもとより、バロウズの「火星シリーズ」もムアコックの「火星の戦士」もC.S.ルイスの「マラカンドラ」も、「火星だしー」ということで、まとめて登場しているのだ!
いや全部の作品の火星人が一緒にいるという。バカにもほどがある(誉め言葉)。
有名人には有名な作品なので、なんで今さらと言われるかもしれないが、主に原書で読んでたので、巻末の連載小説部分は読み飛ばしていたのだ。日本語版の訳+素晴らしい注釈で読み直して、おおいに驚倒した次第。
コミック部分も大概無茶なネタ詰め込みをやってると思ったが、連載小説部分は、さらに悪ノリ。平均して1pに10個以上ツッコミどころがある上、そんなネタわからねーよ!のオンパレード*2
ヴィクトリア朝萌えと、バカクロスオーバー萌えの人にはお薦め(狭いな、おい)。
なお、3巻も(原書が)今年の10月末に発売する予定。先代怪人連盟(「ガリバー旅行記」のガリバーに、「テンペスト」のプロスペロに……)の足跡を追って行く話だとか。まぁ遅れがちなシリーズだけど、無事発売されるといいなぁ。